[書評]対人援助の現場で使える 聴く・伝える・共感する技術便利帖
おすすめ度:★★★★☆(コミュニケーションの基本を学ぶ若手社員におすすめ)
対人援助とは文字通り他の人を援助するための行動です。
医療や福祉の世界で使われる言葉で、カウンセリング、問診、日常的なケアなどがこれにあたります。
そうした現場ではたとえばアルコール依存症といったやっかいな課題を抱えている方と相対することがあります。
そのため、援助対象との信頼関係を作りケアにつなげるための上手なコミュニケーションの技術が様々に磨かれているようです。
本書の内容は、対人援助の関係ない仕事全般においても普段のコミュニケーションや後輩の指導などに問題なく使えるものでした。
チェックリストの各項目ごとに、その弱点による悪影響や改善方法が説明されているページがあり、それらのページを読むことで欠けている技法を身につけていこうという構成です。
共感する力のチェックリストにはたとえば次の項目があります。
こうした各項目の改善点として、「つらかったのですね」などの共感的な応答のあとには「よければもう少し詳しく聞かせていただけませんか」や「一番つらいことは何ですか」、「何か、私にできることはありませんか」などと続けると良いなどの具体的な改善策が載っています。
聞く力、伝える力についても同様の構成で、それぞれチェックリストには例えば以下の項目があります。
聞く力:
伝える力:
読んでいると、「これ、私の会社(電機メーカー。対人援助は無関係)で入社3年目くらいに受けた研修とほぼ同じじゃん。むしろこちらのほうが体系化されていていいじゃん」と思うことしきりでした。
その研修は社外の教育コンサルタントが講師だったのですが、そうした研修と比較してもより優れている内容だと感じたというわけです。
本書で紹介されている技法は、主にマイクロ技法階層表に記載されているものです。
マイクロ技法階層表とは、対人援助の世界で用いられている技法を整理した表で、援助職がカウンセリング時に取るべき行動(オープンクエスチョン、励まし、言い換え、フィードバックなど)を階層的にまとめたものです。1990年代以降対人援助の世界で広く知られるようになったようです。
詳しくは、ネットで検索すれば色々記事が出てきますが、よく整理されているのは以下のURLです。
http://blog.livedoor.jp/pellow413-jcda/archives/cat_97342.html
本書はこの中でも「基本的かかわり技法」を紹介しています。
しっかり抑えておくべき技法を網羅的に教えてくれるというわけで、良い本ですね。
たとえば援助職が大切にすべきマインドとして「バイステックの7原則」が紹介されています。
中でも「非審判的態度」は読んでいてギクリとしました。
これは相手を一方的に審判しない、という態度です。良い/悪い や 正しい/間違い を筋違いの人に評価されるとイラッとしますよね。そうした審判をやめようというお話です。
私はついついこれをやってしまいがちなのですが、「非審判的態度」という概念を知ることができて今後は気をつけやすくなったと思います。
ほかにも、「上手に聴く邪魔をする心の壁」の6パターンや、コーチング、スーパービジョン、アサーション、コアビリーフ、アンガーマネジメントなどについて言及があり、マイクロ技法階層表だけでは足りない部分を補ってくれています。
他の人がやたらとうなずいてきたり、「言い換え」をしてきたり、私の意見を尊重するという素振りを見せてきたり……。
そうした技法があまりにあからさまだと、「この人は技法を用いて私をコントロールしようとしている」と警戒してしまいます。
技法みたいなものを使って相手をコントロールする人ってイヤですよね。
ひるがえって考えると、そうした問題を起こさないようにするには、そもそも私の基本的な人格や態度を向上させる必要があると感じました。
一言でいうと「相手の話をよく聴く落ち着いた性格になろう」というわけです。
「バイステックの7原則」のくだりでも軽く触れましたが、本書では、とるべき基本的な態度が色々な箇所に散りばめられています。
私なりにごく簡潔にまとめると、以下の3点がとるべき基本的な態度だと思いました。
対人援助とは文字通り他の人を援助するための行動です。
医療や福祉の世界で使われる言葉で、カウンセリング、問診、日常的なケアなどがこれにあたります。
そうした現場ではたとえばアルコール依存症といったやっかいな課題を抱えている方と相対することがあります。
そのため、援助対象との信頼関係を作りケアにつなげるための上手なコミュニケーションの技術が様々に磨かれているようです。
本書の内容は、対人援助の関係ない仕事全般においても普段のコミュニケーションや後輩の指導などに問題なく使えるものでした。
本書の概要
聴く力、伝える力、この2点のベースとしての共感する力が自分にどのくらい備わっているかを測るためのチェックリストが載っています。チェックリストの各項目ごとに、その弱点による悪影響や改善方法が説明されているページがあり、それらのページを読むことで欠けている技法を身につけていこうという構成です。
共感する力のチェックリストにはたとえば次の項目があります。
- 「ooすべき」「ooしなければならない」といった言葉をよく使う
- 「つらかったのですね」などと共感的に応答したあと、次の言葉が思い浮かばない
こうした各項目の改善点として、「つらかったのですね」などの共感的な応答のあとには「よければもう少し詳しく聞かせていただけませんか」や「一番つらいことは何ですか」、「何か、私にできることはありませんか」などと続けると良いなどの具体的な改善策が載っています。
聞く力、伝える力についても同様の構成で、それぞれチェックリストには例えば以下の項目があります。
聞く力:
- 先に相手が挨拶。自分はその後になることが多い
- とっさに困った場面で、笑い顔になっている
伝える力:
- 伝えることに精一杯で、相手を観察する余裕がない
- 相手に伝わらないとき、「なんでわからないのだろう」とイラッとする
読んでいると、「これ、私の会社(電機メーカー。対人援助は無関係)で入社3年目くらいに受けた研修とほぼ同じじゃん。むしろこちらのほうが体系化されていていいじゃん」と思うことしきりでした。
その研修は社外の教育コンサルタントが講師だったのですが、そうした研修と比較してもより優れている内容だと感じたというわけです。
本書で紹介されている技法は、主にマイクロ技法階層表に記載されているものです。
マイクロ技法階層表とは、対人援助の世界で用いられている技法を整理した表で、援助職がカウンセリング時に取るべき行動(オープンクエスチョン、励まし、言い換え、フィードバックなど)を階層的にまとめたものです。1990年代以降対人援助の世界で広く知られるようになったようです。
詳しくは、ネットで検索すれば色々記事が出てきますが、よく整理されているのは以下のURLです。
http://blog.livedoor.jp/pellow413-jcda/archives/cat_97342.html
本書はこの中でも「基本的かかわり技法」を紹介しています。
しっかり抑えておくべき技法を網羅的に教えてくれるというわけで、良い本ですね。
プラスアルファ的な情報もおもしろい
他にもちょくちょくとプラスアルファ的な情報があり、なかなか興味深いものもありました。たとえば援助職が大切にすべきマインドとして「バイステックの7原則」が紹介されています。
中でも「非審判的態度」は読んでいてギクリとしました。
これは相手を一方的に審判しない、という態度です。良い/悪い や 正しい/間違い を筋違いの人に評価されるとイラッとしますよね。そうした審判をやめようというお話です。
私はついついこれをやってしまいがちなのですが、「非審判的態度」という概念を知ることができて今後は気をつけやすくなったと思います。
ほかにも、「上手に聴く邪魔をする心の壁」の6パターンや、コーチング、スーパービジョン、アサーション、コアビリーフ、アンガーマネジメントなどについて言及があり、マイクロ技法階層表だけでは足りない部分を補ってくれています。
技法への個人的な警戒心
本書は色々な技法を紹介しているのですが、個人的には、そうした技法に警戒心を持つこともあります。他の人がやたらとうなずいてきたり、「言い換え」をしてきたり、私の意見を尊重するという素振りを見せてきたり……。
そうした技法があまりにあからさまだと、「この人は技法を用いて私をコントロールしようとしている」と警戒してしまいます。
技法みたいなものを使って相手をコントロールする人ってイヤですよね。
ひるがえって考えると、そうした問題を起こさないようにするには、そもそも私の基本的な人格や態度を向上させる必要があると感じました。
一言でいうと「相手の話をよく聴く落ち着いた性格になろう」というわけです。
「バイステックの7原則」のくだりでも軽く触れましたが、本書では、とるべき基本的な態度が色々な箇所に散りばめられています。
私なりにごく簡潔にまとめると、以下の3点がとるべき基本的な態度だと思いました。
- 相手のペースでじっくり話してもらう
- 相手の言葉の意味だけでなく感情にも注意する
- 相手の立場に立ち、分かりやすく納得しやすいように考えを伝える
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