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[ベストプラクティス]仕様書や設計書のレビュー観点

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ソフトウェアの仕様書や設計書を念頭に置いたレビュー観点です。 抽象度高めでまとめたので、装置の仕様書や組織の設計書といった異分野のケースにもある程度応用できると思います。 仕様書も設計書も、下図の1~7番のうち必要な観点をピックアップしてレビューします。 仕様書と設計書のレビュー観点を1つの図にまとめた理由 仕様書と設計書の使い分けは会社、部署、プロジェクトにより様々です。 たとえば小規模なプロジェクトであれば仕様書と設計書を兼ねる1つのドキュメントにまとめることもあるでしょう。 また、社内向けなのか社外向けなのかによってもこの2つの使い分けは異なってきます。 上図は「ベストプラクティス」として様々なケースのレビュー観点集の第一候補として用いることができるようにしたいので、汎用性を高めるためにあえて仕様書と設計書を線引しないことにしました。 レビュー観点の見方 1~7番の観点をみて、記載漏れをチェックします。 また、仕様書も設計書も、図中の番号の順番に記載するとまずは概要を説明し徐々に詳細化していくという流れになるので読みやすいと思います。 ただし、6番(内部構成物)と7番(非機能)については必要に応じて適宜挿入するほうが良いケースもあると思います。 図中の単語は、「仕様記述対象もしくは設計対象」といちいち書くと長くなるので、「設計対象」で揃えました。 各項目の説明 1. 記述している設計対象を時間軸上で特定 「どの時点について記述しているのか」を明確化するために日付や設計対象のバージョンを記載します。 目的: そもそも記述対象を明確化するため 2. 文脈の中で設計対象が果たす役割、占める位置 文脈とはビジネス、関連技術、ロードマップなどのことです。 たとえば以下のような事柄を記載します。 設計対象がビジネスの中でどういう役割を負っているか 例: システム利用者からクレジットカード情報の入力を受け付けてカード会社に紹介して決済を完了させる 関連技術とどのような関係性なのか 例: カード決済の安全性について定義したISO-xxxxxではoooとxxxの要件を満たすように定められているが、本システムではoooのみに対応し、xxxには対応しない ロードマップのどこまでを達成す

[書評]あたりまえだけどなかなかできない 営業のルール

おすすめ度:★★★★☆(お客様と接するときの心得がわかる) リクルートや外資コンサルタントを経験した著者が営業の基本的なルールを101件説明する書籍です。 たとえば、お客様の課題のヒアリングをスムーズに進めるために、 まずは誰にでも当てはまるような内容を話して「この人は分かってくれている」という信頼関係を構築してからお客様の具体的課題に切り込む、 など、 こうしたことが巧みな営業は上手いな、と一つ一つ同意できる内容 でした。 こうした 具体的ルールが101件載っています 。 内容的に、若手社員向けです。 お客様と相対する際に心得ておくべきことはいくつもありますが、その全体感を把握するのに役立つ書籍です。 全体感を把握することによって、自分に不足している点を補う、特技を活かす方法を考える、といった改善活動に優先順位をつけて取り組みやすくなります。なので効率的に努力するための助けになる書籍です。 営業以外でも、お客様と接する仕事全般に活かせる 私が最もなるほどなと思えたものを1件紹介いたします。 本書に全体的に当てはまる話でもあるのですが、営業以外でも、お客様と接する仕事全般に活かせるルールです。 それは、「 大義名分で相手の心理的負担を減らす 」というルールです。 これはだけではちょっと分かりづらいのですが、本題をいきなり話すのではなく、定型的な話の流れを演出して、その流れの中で話せば本題を伝えやすいという発想です。 具体例として、たとえば2週間後の自社セミナーに参加するようにお客様にお願いするのが本題だとすると、 いきなり「2週間後のセミナーにお越しいただけないでしょうか」と本題を話すのではなく、 「○○のセミナーが開催2週間前になったので、以前ご案内差し上げたお客様に確認のお電話をさせていただいているのですが」と前置きしてから「○○のセミナーにお越しいただきたいのですが、ご都合はいかがでしょうかか」 と本題を持ちかけます。 こうすることで、都合を尋ねるのは定型的な話の流れなのだという印象を与えられるので、お客様に与えてしまう心理的圧迫感を弱めることができます。 このルールに限らず、営業以外でも、要件定義、サポートなどお客様と接する機会のある様々な仕事で使えそうなルールがたくさん載って

[ベストプラクティス]コーチングで使える質問集

ビジネスの場面でのコーチングでは質問をメインのツールにして相手を導くべきとされています。 コーチングでは色々な質問をすることになりますが、 大体はこのページに書いてある質問に集約されると思っています 。 このページに書いてある質問をざっと部分的にでも頭に入れておけば、 コーチング対象と話していて 「ん?」という違和感を覚えたけれどもなんだか言葉にしづらいというときにうまい質問ができる と思います。 状況整理のための質問 具体的には? 詳しく言うと? 何がその状況を引き起こしていますか? なぜそう判断しているのですか? 周囲のことに視野を広げる質問 周囲の人はどのように反応していましたか? 周囲の人に助けてもらえるとしたらどのような点ですか? あなたがもし何もしなかったら周囲で何が起こるのですか? 目的目標をクリアにする質問 最低限必要な成果は何ですか? それは誰が求めていますか? 過程を飛ばして考えると何がどうなるのが理想ですか? 周囲の人達が手伝ってくれるとしたら、何をしたいですか? タイムスパンを広げて考える質問 長い視点で考えるとその目標は高いですか? 低いですか? そのことは職業人生でどのような意味を持っていますか? 以前と比べて、現在はどう考えが変わりましたか? 部分と全体の関係をクリアにする質問 全体のうちどの部分についての話ですか? そのことは仕事全体に対しどのような意味を持っていますか? 全体の中で、その部分は何番目に重要なのですか? 価値判断をクリアにする質問 何を「失敗」と呼び、何を「成功」と呼んでいるのですか? あなたがそれを重要だと捉えているのはなぜですか? あなたの気分が良くなる瞬間はなかったのですか? 成功体験についての質問 いつから上手くいきはじめたのですか? どうすれば他の人も同じように成功できますか? この成功パターンを他のことにも当てはめられませんか? 自己認識についての質問 あなたがしていて楽しかった仕事は何ですか? あなたはどんなときにひるんでしまいましたか? あなたが人よりも優れているとしたらどの点ですか? 結論を決めるための質問 まずは何をしますか? この会話でどのように考えが変わりましたか

[書評]変革を定着させる行動原理のマネジメント

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おすすめ度:★★★★☆(自分の周囲からじわじわと変革を起こす取り組み方がわかる) 人や組織を変革するマネジメント手法を解説した書籍です。 ABCモデルに基づいた変革 本書はまず ABCモデル で人の行動原理を解説しています。 ABCモデルを大雑把に説明すると、 誘発要因( A ntecedents)が行動( B ehavior)を引き出し、その行動には結果( C onsequences)が生まれる その結果( C onsequences)が次なる誘発要因( A ntecedents)として、さらなる行動( B ehavior)を引き出す…… と、 A → B → C → A → ……とループするというモデル です。 図にすると次のとおりです。 このモデルに基づいて考えると、 ある人の行動を変化させるためにはその人の行動の結果(Consequences)に適切に反応すればよく 、 そうすれば次なる誘発要因(Antecedents)や行動(Behavior)をも変化させられます。 本書は全体の構成としてこのような発想に基づいてマネジメント手法を説明しています。 周囲の人達の結果(Consequences)に反応するという形で「変革」を進めるという点では、 トップダウンで「ooしよう!」といきなり呼びかけてドラスティックな変革を要求するのとは違って、 自分の周囲からじわじわと変革していくのが本書が提示する変革のイメージ です。 ABCモデルの弱点と、それを補う本書のセールスポイント 読者が当然気になるのは「じゃあ僕は具体的にどう行動すれば良いの?」という点だと思います。 人間の行動モデルは、経済学、社会心理学、マーケティング、安全工学などの分野で様々に論じられていますが、本書で取り上げているABCモデルは汎用性が高いが故に具体性が欠けているのが弱点だと私は考えています。 これを補うような 具体的なテクニックを書いてあるのが本書のセールスポイント です。 今日から始められる具体的テクニック 本書では、他の人を変化させるために、結果(Consequences)に対して承認、処罰、無視といった対応を使い分けるべきと説いています。つまり、 人が望ましい変化をしたならば結果(Consequences)

[ベストプラクティス]仕事に役立つ 心理学的現象、行動経済学の概念など 15題

本記事は私がこちら( ソフトウェア開発に役立つ 心理学的現象、行動経済学の概念など 15題 )に投稿した記事を ソフトウェア開発者以外にもわかりやすいように部分的に修正したものです。 仕事の様々な局面で役に立つ、心理学的現象や行動経済学についての知識です。 経験則で把握済の事柄もあるかもしれませんが、 言語化して名前を与えることで何かのときにスッと出せたり 、周囲の方々と議論しやすくなったりすると思います。 以下の3つの分類で記載いたします。 打ち合わせやチームワークに役立つ知識 個人の仕事に役立つ知識 メンタルヘルスケアに役立つ知識 打ち合わせやチームワークに役立つ知識 自己効力感 自己効力感とは、 自分には何かを達成する能力がある、と信じる感覚 です。 自己効力感が形成されていると、仕事の意欲が増したり、効率が上がったりします。 「この仕事は絶対ムリ~(>_<)!」と感じている仕事についてやる気がわかなかったり進捗が出なかったりするのは、自己効力感の欠如が原因であることがあります。一旦やる気を出すと案外簡単に進められたとか、真剣に取り組むと思ったより楽で「あの息苦しさは何だったんだろう……」と拍子抜けした経験をお持ちではないでしょうか。 仕事への役立て方: チームリーダーはメンバーに自己効力感を形成させる ことも重要な仕事です。その方法は成功体験を積ませることです。そのためにはメンバーに適切な難易度の仕事を与えたり、困っていることを早期に察知してサポートするといった行動が有効といえます。さらにメンバーの行動に 適切な内容のフィードバックを速やかに与える ことも重要です 「チーム効力感」や「集団効力感」という概念もあります。これはチームや集団にとっての自己効力感です。チーム効力感も仕事の意欲や生産性に影響します。チーム効力感の形成のためには、失敗事項や要改善点のみを議論するのではなく、成功要因を分析したりより上位の立場(マネージャーなど)から褒めてもらえるようチームリーダーが働きかけたりすると良いでしょう また、関連する概念として「学習性無力感」があります。 ひとは、 自分の行動と無関係に罰が与えられると、自分は罰を避けることができないと学習してしまいます。「何をやってもどうせうまくい

[書評]エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計

おすすめ度:★★★★☆(ドメイン駆動の基本的な考え方がわかる!) ドメイン駆動の原典 本書はドメイン駆動設計を世界で初めて提唱した書籍です。 ドメイン駆動設計とは、 ドメイン(業務領域)の分析と言語化を中心にしてソフトウェア開発を進めていく手法 です。 これにより ソフトウェアの複雑化を抑えられます 。 ドメイン駆動設計の基本的な考え方は、 ドメインのエキスパート (ドメインが貿易業務なら、貿易業務のエキスパート) とソフトウェア開発者が共同でドメインを分析・言語化 し、 言語化されたドメインモデルをなるべく率直にソースコードに反映 することで、 ドメイン知識とソフトウェアコンポーネントの関係性を明確にする というものです。 ドメイン駆動設計を実現するための戦術として、本書はたとえば以下の行動を取るべきとしています。 早期にプロトタイプを作成してドメインモデルと実装を結びつけることで、 ドメインモデルと実装のズレが大きくなる前に実装にドメインの知識を反映していける ドメインについての洞察が深まったら、たとえソフトウェアの外部仕様が変わらないとしても、こまめにリファクタリングを行う。これにより ソフトウェアの内部設計(実装)とドメインの乖離を防ぐ ことが出来る ドメインを表現するためのコードと、技術的理由で(特定のOS、DBなどを採用していることが理由で)作成したコードは、レイヤをわける。このことにより左の 2種類のコードが混じることを防止でき、ドメインをより正確に表現しやすくなる とにかく ドメインモデルを素早く率直にコードに反映し、さらにドメインを表現する部分とその他の部分を上手くレイヤで分けていく 感じです。 以上のような方法論に従うと得られるメリットは次のようなものです。 コードがドメインの内容を率直に表現するようになり、可読性が良くなる ドメインの概念とそれを表現するコードが基本的に1 : 1となるので、ドメインの変更やエキスパートからの助言に応じたコードの要変更箇所を明確にしやすい 特に業務システムが扱うドメインは、商業的慣習、法的規制、ユーザの組織構造などが煮詰まっており複雑になりがちです。 こうした 複雑さと上手く付き合うための手法 として、インターネット上ではドメイン駆動設計が議

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書評(仕事、小説、芸術など)と、仕事や生活の様々なベストプラクティスを掲載するブログです。 書評 仕事、小説、歴史、芸術といった分野を中心に感想を書きます ベストプラクティス 仕事や生活の様々な場面でのベストプラクティスを書きます。「ライフハック」よりも手堅く実用的な内容を目指します なお、プログラミング関連の情報はこちらに投稿することもあります。 https://qiita.com/arai-wa

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